およそ20年ぶりのアルツハイマー病の新薬ニュースが飛び込んできました。
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、6月7日、日本の製薬大手エーザイと米バイオ医薬品大手バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病の治療薬「アデュカヌマブ」を条件付きで承認しました。
これまでは進行を遅らせる症状を和らげる薬しかなかったが、今回の「アデュカヌマブ」は、アルツハイマー病の原因物質と考えられているアミロイドβ蛋白を除去する作用の薬で、これまでの薬の作用とは異なります。
効果については、追加の治験を行い、今後判断される。場合によっては承認を取り消される可能性もあるが、患者とその家族にとっては、非常に期待される明るいニュースなのは間違いないでしょう。
ただし、投与開始の段階から病気の進行を止めるということを考えると、これまで同様、早期発見早期治療が患者と家族にもたらすQOLを左右するカギになりそうです。できるだけ軽度認知障害(MCI)かそれ以前でキャッチしたいですね。
この治療は抗体医療で高額な点が懸念されています。日本円で1人あたり年約610万円(米5万6000ドル)の試算だそうだが、保険適応にならないと結局すべての人に行き渡らない薬になってしまいます。日本での承認は早ければ年内の見通しだそうですが、すべての認知症の人に等しく用いられて、本人家族の希望につながってほしいです。
この薬が用いられたとき、これまでの認知症ケアとこれからの認知症ケアの何が変わるのでしょうか?基本的な関わり方は変わらないかもしれません。なぜなら、病気の進行は抑えられても、それまで受けた脳のダメージとそれによる症状は残ってしまいます。したがってその症状は、後遺症として付き合っていかなければならないでしょう。その時の対応は、現在の対応と大きく変わることはないように思います。しかしながらケースによってはポイントを絞った効率的な関わりを継続する対応になる可能性もあり、介護する家族にとっては多くのバリエーションを求められずにある一定の対応を実践する、今より分かりやすい介護となるかもしれないですね。勿論、専門職である私たちにとっては、今まで通り多くの整理された引き出しが必要なのは言うまでもない。
